2014.11.25 Tuesday
長崎県、三重県、実地調査でEM(有用微生物群・EM団子)の湾の生態系への効果を確認
三重県の報告
http://www.eco.pref.mie.lg.jp/earth/100150/em/report.htm
有用微生物を活用した環境改善実験結果
閉鎖性水域(英虞湾)における水質浄化実験(平成15年度〜平成17年度)
まとめ
水質保全対策が必要な閉鎖性水域の水質・底質改善を目的として、平成13年から平成17年度まで有用微生物群を実験フィールドに投入し、水質・底質その他の海域環境に関する調査を実施した。経年的なデータが蓄積されたことから、その有効性
について考察を行った。
水質については、実験区、対照区とも変化は確認できなかった (当該実験フィー ルドのCODは測定結果からもわかるように1〜3mg/L前後と比較的きれいな水域であり、この水質レベルにおいて、変化は確認できなかった )。
底質については、実験区において、腐敗・還元性・悪臭の指標であるAVS(神明地区)及び汚濁指標であるCODに減少傾向が確認された。なお、対照区等においてはその傾向が確認されなかった 更に 地域漁業者に対する聞き取り調査においても 「アマモが増えた 「悪臭がなくなった」などの回答があり、底質改善への一定の効果が あると推定される。
アマモなどの海草藻類調査等においては実験区では経年で藻場分布の拡大が見られたが、対照区では顕著な拡大は確認されなかった。また、藻場密度については実験区では分布の拡大に伴い一時的に増加したが、その後増加傾向は継続せず、対照区については緩やかに増加した。
投入微生物が藻場に与えた影響については、この実験期間で断定的な評価を示すことは難しいものの、分布の拡大は確認している。
なお、実験の全期間を通して、底質、藻類等に対し、投入微生物により悪影響を与えるような事象は確認されていない。
微生物を活用した改善対策は、微生物が最大限にその特性を発揮するための至適条件があり、それを活用するフィールド条件に左右される。
このことから、本県の実験結果を用いる場合、そのフィールドに合うか否かの予備調査を行い、活用していくことが望ましいと考えられる。
長崎県の報告
EM 菌活用による内海湾の浄化について(幡鉾川河口の環境回復を図る)
長崎県壱岐支庁 建設課
http://www.doboku.pref.nagasaki.jp/keiji/gijutuhappyo/h16/ronbun/11.pdf
底質調査の結果及び考察
以上の結果から、EMだんごを投入したアオサ養殖場と他の場所を比較すると、若干の向上がみられるものの、まだ2、3年の追跡調査を必要とするようだ。
しかし、濁りの発生後、消滅していたアマモ(水質のよい所に出る藻類)について、EMだんご投入前と比較すると、消滅する前の状態に戻り大きく生長しているのが確認されており、EM菌が確実に底質を浄化していることが示された。アマモというものは潮流を和らげ、産卵の場を作り、外敵からの隠れ場にもなるため、小型動物の生活の場所となる。さらに、アマモは水質浄化の面でも重要な役割を果たすため、回復してきたことで内海湾の復活に明るい光が差し込んできた。EM だんご投入により、復活し変化した海底状況の写真を下に示
す。EM だんごを投入していない箇所はシオミドロ(海底の状態がよくない場所に出る藻類)が広がり、海底まで日の光が届かずヘドロ化が進み、底質の悪化を促進していると思われる。
このように EM 菌による効果がはっきりと見えて、ますます EM 菌のすごさ(エネルギー)を知ることとなった。
被害を受けた関係者へも話を聞いてみると、アオサ養殖をするのに竹を立て網を張るという作業があるのだが、「竹を抜くとヘドロの臭いがしたが、最近は臭いがしなくなった。EMだんごをまいた所が白く広がっている。」とのことで、EM 菌は臭いまで消して、浄化の為の活動を活発に行っている状況がよくわかった。
アマモの復活やヘドロの臭いの除去、さらには各調査項目の少しではあるが数字のさらなる改善など、内海湾回復の明るい将来が見えたのだった。
もちろん、何年もかけて汚した海であるので、回復へも何年もかかるかもしれない。しかし、少しずつの効果を励みに、私たちは EM 菌による内海湾浄化への取り組みに、これからも頑張っていきたい。
EM研究機構ウェブサイトより
http://www.emro.co.jp/em/science/fishing_industry/index.html#example
日本では、EMを活用して豊かな海を取り戻そうというボランティア活動が多数展開され、水質の改善やヘドロの減少という効果にとどまらず、海草や魚貝類が甦り、水産業の振興へと成果が広がっています。
水質汚染は生活排水が主な原因となっていますが、家庭から出る汚染物質の大部分はEMが利用可能な物質です。流れていく先でEMが腐敗菌より優先してく ると、汚染物質は腐敗せず発酵され、他の微生物や生命がEMの作り出す物質を利用するようになります。
このような環境が出来るとより高次の捕食者が増加し、汚染源のエネルギーが生命エネルギーとして利用されるようになります(詳しくはEMのメカニズムをご参照下さい)。
海の砂漠化による水産資源の枯渇、対処療法的な技術に基づく養殖業の抱える矛盾などは、EM技術を活用し、周辺環境を総合的に改善することで解決可能です。
水産養殖におけるEM (有用微生物群) の活用
魚介類の乱獲や海や河川などの水環境汚染など、人為的な影響により世界中の天然の水産資源は減少し続けている。水産養殖は先進国においては不足する魚介類を補い、また開発途上国においては外貨獲得の手段として国策で養殖の開発が推進されてきた。
水産養殖では限られた区域の中で特定の種の魚介類を養殖するため、衛生管理は非常に重要な条件である。しかし成長を促進させるために過剰な給餌が行わ れ、その結果として余剰な餌や排泄物は汚泥となり、水質を悪化させる原因となった。この水質の悪化による病気を抑えるため、抗生物質や化学薬品が投入さ れ、自然界に存在する有用な細菌類を抑制し、自浄作用を抑制させることとなる。最終的には使用できなくなった区域は放置され新たに養殖場を開拓するため、 環境の破壊は著しいものがある。
EMは環境浄化の分野でも世界各地で実績を上げており、特に養殖と関連する河川浄化など自然界の水処理においてもその効果が認められている。養殖におい ても水質の悪化が病害などの原因となっており、水質浄化で効果を発揮しているEMを利用し、水の自浄能力を向上させることにより、これらの問題を解決する ことは十分可能である。本編に示すようにEMを活用しこれらの問題を解決することは、水産養殖の生産性を向上させるだけでなく、環境を保全することにも繋 がってくる。
主な事例
3.参考資料
東南アジアを中心にエビ養殖におけるEMの使用が盛んになっており、エビ養殖事例が中心となっている。水産養殖においてはどのような魚介類の養殖でも水槽内の衛生環境の保全という意味においては共通している。
(現場事例)
【1】「Black tiger prawn culture with EM and EMX application (Thailand) 」:APNAN / EMRO Thailand
チャンサオ県のエビ養殖場においてEMとEMXを用いて試験を行った。試験は1月から10月まで行われ病害の防除として餌にEMXやニンニクを混合したものを使用した。時期的に難しい面もあったが最終的な生存率は57%あった。
【2】「Catfish Raising by EM application (Thailand) 」:APNAN / EMRO Thailand
3ライ (1.2acre / 4.8ha) の養殖池に10万から20万匹のエビを年に2回養殖している。池を乾燥させる時期に汚泥へのEM散布、稚エビの餌へのEM混合などのEMの施用により、ナマズの死亡率が減少したり、経費が削減されるという効果が得られた。
【3】「A black Tiger Prawn Farm in Chachoengsao (Thailand) 」:APNAN / EMRO Thailand
クン・サマイ氏は4年間EMを用いたエビ養殖を行ってきた。EMは池を乾燥させた時の汚泥への処理・悪臭の発生・水質が悪化した時の処理に使用している。ここでは餌へのEMの混合は行っていないが、結果としては光沢があり、悪臭のないエビが飼育されている。
【4】「Sonporn’s Black Tiger Prawn Farm (Thailand) 」: APNAN / EMRO Thailand
プンピンで5ライ(2care / 8ha) の養殖池に8万から10万匹のエビを養殖している。収穫後の池のヘドロにEMボカシを施用する。EMを施用した後、稚エビを放流し、収穫までEMとEM5 を投入する。水質の管理は重要であり、pH、アンモニア濃度、塩分濃度、藻類、水の色などのチェックを行う。病気が発生した場合には餌にストチュウを混ぜ 4時間放置後に給仕している。臭気の問題、汚泥の減少、コスト、環境保全などの面で効果があった。
【5】「Observation the Use of Effective Microorganisms on Selected Vegetable Crops Using Nutrient Enriched Water from a Water Recirculated Intensive Fish Production (South Africa) 」:J.F.Prinsloo and H.J.Schoonbee
淡水養殖では飼料の不足のため、それに代わる家畜糞尿などの有機質の利用が研究され、また水の有効利用のため農業用水と養殖の水の共用についての研究も進められている。それらを組合せたインテグレーテッド農法が南アフリカで研究されてきた。悪臭などの問題があったが、EMを組み合わせることで、臭気も緩和された。その水を用いた作物栽培でEMボカシ、化学肥料、堆肥を使用した比較試験を行い、EMボカシは収量においてその他より相対的に良い成果が得られた。
【6】「Nature Farming and Shrimp Production in South America (Brazil) 」:H.Ota and S.Kinjo
中南米のペルー及びエクアドルのエビ養殖では白点病が大きな問題である。ところがEMを用いた農家では病気が減少してきている。理論については調査中であるが、EMにより養殖池の環境が向上、安定化したことによると考えられる。
【7】「Impact of Effective Microorganisms in Shrimp Culture Using Diffferent Concentrations of Brackish Water (Thailand) 」:S Pongdit, T.W.Thongkaew
本試験では塩分濃度の異なる地域での有機エビの養殖へのEMの有効性について確認する。成育までにはEM、EMボカシ、EM5号が使用された。水質 (BOD、COD、アンモニア、リン) は塩分濃度の違う2箇所とも養殖前後とも低いレベルに抑えられていた。EM使用により5ライ当り90000バーツの経費が削減され、通常年に一回か二回養殖が行われるところが、水の交換無しに年三回の養殖が行えた。試験よりEMによる有機エビ養殖は、塩分濃度に関係なく可能と考えられる。